「ビキニ・カー・ウォッシュ」の感想

前回から続けざまではありますが、問題作の感想について書いていきます。

※個人の感想なのでネタバレも含む可能性があります

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Amazonにこれも見て欲しいと言わんばかりの作品でした。

確かにいくつかR指定されているビデオも観てきましたが、一度でも観るとこういう作品が延々とオススメされてしまう問題はありますね。とはいえ、あんまり堅苦しい作品ばかりでも疲れてしまうのでたまにはこういう息抜きも必要です。もちろん私が観てきたなかでそこまで堅苦しいような作品は思い当たらないのですけれども。

タイトルからもわかるように、今作はもういかにもアメリカの映画って感じで自由奔放な感じが伝わってきます。割とこの手の映画にありがちなタイトルだけで期待させられて中身ガッカリはありませんでした。本編は半分くらいビキニカーウォッシュな内容だったので、その点では非常にタイトルに誠実な映画だなとは思います。

ただし物語として考えたときにはちょっと物足りなさを感じてしまうというか、冒頭のナレーションで「すべてが順調とは言えなかった」とありましたが、あまり修羅場はありませんでした。映画の終盤でギャングメンバーが襲撃してくるシーンはどう収めるんだろうって思ってたら、実は演技でしたっていうのはなかなか騙されましたけれども。それくらい平和な映画でした。

そもそもビキニカーウォッシュとは。作中では革新的なアイデアだと言っていましたが、果たしてそういったサービスは存在していたのでしょうか。ソースはWikipediaですけれども、Car washというページに存在していました。ただし、いつから始まったかどうかについては言及されていません。夏場限定のビジネスというのはわかる気がしますが、fund raisers for a schoolという表記を見ると学生を使って赤い羽根募金のようなノリで行っているのでしょうか。

他にもこの作品がAll American Bikini Car Washで2015年に公開された作品のようですがIMDbを見るとThe Bikini Carwash Companyというタイトルで1992年の作品がありました。ということは案外アメリカの文化としてはここ数年で始まって爆発的に増えたというよりも、90年代頃には存在していたともいえるでしょう。ちなみにこの映画も主人公は同じくジャックでした。

ところでビキニカーウォッシュのビジネスの宣伝のためにラスベガスに何度かチラシを配りに行くシーンがありましたが、私もラスベガスに観光しに行ったことがあるので懐かしく感じました。ちょうどL.A.からバスで行くのですが、あれは完全に宣伝というよりも華やかさというか、従業員を労うという意味合いのほうが大きいんだろうなぁと思いました。ただ、L.A.のビジネスなんだからL.A.で宣伝したほうが良いのではと思ったり。確かに一日で行ける距離とはいえ、なかなか遠かった記憶があるので。

映画の内容でいうなれば、ラブコメでしょうか。予めルームメイトがたくさんいたのと、シーンのカットがホームコメディのような印象でした。特に誰かがセリフを喋っているときは喋っている演者がセリフごとに切り替わるように感じたので目まぐるしく感じますが、アクションそのものは少ないです。個人的にはちょっとクドく感じました。

出演者についても見てみますと、主人公の親友であるヴェックスがケーブルテレビの「アメリカン・ビンテージ大修復!ビフォー&アフター」という番組に出ていた息子のタイラーに似ているなぁと思っていました。途中で彼自身もノリノリで洗車に参加しだすあたりはやっぱりなと思う部分もありました。

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マーヴィンというキャラは奥手のキャラとして描かれていましたが、おそらく彼はSteve Urkelというキャラクターのオマージュだと思います。立ち位置としてもわかりやすくて典型的なモテないキャラでしたが、最終的にはちゃっかりアマンダとくっついちゃうのは想像できたというか。アマンダはSex and the Cityのキャリーっぽいなぁと思いました。

あとはマフィアのトニーというキャラクターもいましたが、こういうコテコテのマフィアっぽいキャラクターはコミカルというか。イタリアンっぽいアクセントが微笑ましいというか。もちろん脅しに来ている最中に笑ったものなら命すら危ないでしょうけれども、作中で最も恐ろしいはずのキャラクターなのにどこか抜けてる感じにしまうのは気のせいでしょうか。

という具合に作中ではマフィアに因縁をつけられるシーンがありましたが、一度でも関わろうものなら仮に借金を完済しても定期的に嫌がらせを受けるものかなと思いきや、案外あっさりしてましたね。もちろん作中でも他のストリップクラブを狙っているという説明もありましたが、あれだけ繁盛している店をみすみす逃がすのだろうかというか。この手の商売には何かしらの組織が絡んでいるものだと思うので、親と大学の教授だけが敵のようなポジションだとしたらやっぱり平和すぎて物足りないというか。こういう映画にそういうストーリーは合わないのかもしれません。

まとめですが、映画として楽しむというよりも目の保養のような作品でした。作中に登場する車も高級車ばかりだったので、監督がもう自分の撮りたい作品はこれっていう確かなビジョンがあって、破綻しないようなストーリーを付け加えましたという作品ですね。プライム会員なら観て損する映画でもないとも思います。