「オール・アイズ・オン・ミー」の感想

久しぶりに昨日はてなブログの更新をしたのでプライムビデオも投稿してみようと思います。

※個人の感想なのでネタバレも含む可能性があります

www.amazon.co.jp

今回はおすすめに表示されるビデオではなく、なんとなく自分で観たいと思っていた「オール・アイズ・オン・ミー」です。この手の伝記のようなドキュメンタリー映画ではいつも感心させられるのですが、本当によくこんなそっくりさんがいたんだなぁと思わせられます。さすがに腹のタトゥーこそ違うかもしれませんが、体格だったり鼻のピアスの位置だったり、ライブのリップシンク部分もこだわりを感じました。2pacの表記はTupacで行こうか悩みましたが、タイトル同様にプライムビデオの表記に併せようと思います。

個人的には普段好んで聞くジャンルはテクノとかいわゆるEDMのジャンルなので、あんまりヒップホップとかラップは聴いてこなかったのですが、やっぱり2pacとBiggy Smallsなどの曲はYouTubeなどで聞いていたりしました。ただし歌詞はちゃんと理解していないので、映画によっては歌詞の翻訳をあえてつけないものもありますが、この映画ではちゃんと表示されているのでわかりやすい。

実はかつてプライム会員だった頃も観ていたはずだったので、実は見返すたびにこんなシーンあったなと思い出しましたが、結構忘れていました。それでもやっぱりこの映画は訴えるものが感じ取れるので、何度観てもいい作品だと思います。あまりよく知らない問題に言及するのは気が引けますが、Black Lives Matter運動も裏で主導している人たちがいるかもしれないにせよ、この問題は今に始まったものではないのだと思い知らされます。

この映画ひとつを見ても、2pacの人生は太く短くといった感じで、まさに物語の主人公のようです。それでも実際に実在した人間だから精錬潔癖とは言い切れないかもしれませんが、大志は大きかっただけにもしTupacが生きていたら今頃世界はどうなっていたんだろうかと思う次第です。映画の最後にも出てきた自分が世界を変えることはできないが、自分の生き様を見た誰かが世界を変えるような言葉が齢20前後の人間が言うセリフなのかと改めて思い知らされます。

個人的にこの映画で印象的だったシーンはシュグナイトがマフィア顔負けのようなキャラでディナーシーンや、裏切り者を静粛したりするシーンは良くできているなと思いました。マフィア映画のお約束なら2pacが独立したいとシュグナイトに告げて、スタジオの奥に入る中で後ろから撃たれるみたいなシーンが実はデスロウレコードの子会社のボードを持った面子が待ち構えているみたいな。結局あのシーンの後に暗殺されてしまうわけですが、やっぱり黒幕はあの人だったのだろうかと。しかし、シュグナイト本人はまだまだ存命のはずでこういった映画でほぼ黒幕として描かれているのにこの作品が公開され続けているのはなんだか不気味ですよね。

あとは刑務所で2pacを諌めた年長の囚人が話す内容も含蓄があるし、佇まいがまるでバキとかに出てきそうな強キャラ感がカッコ良かった。ただ、本人は本人で2pacにかけた言葉の割に他の囚人に復讐する気持ちを抑えきれなかったのは残念とも言えますね。このシーンだけではありませんが、2pacが目の前で起こる理不尽な事件を見つめるシーンの哀愁は映画というメディアでは非常に効果的に表現できているなぁと思います。ライブのシーンでもわざと背中を映しだすシーンもありましたが、描いているテーマとしてもこの時2pacは何を考えているんだろうと思わざるを得ないシーンですね。私なりの解釈ではライブの喝采が、おそらく本人が本当に求めているものではなかったのかもしれないと考えたりします。かといって見下しているわけでもないという、複雑な感じ。

また、近年のヒップホップではなくラップというジャンルは個人的にちょっとあまり好きではなくて、やっぱりこの時代の独特のビートがたまらなく好きだとも言えます。思い出したように出てきますが、個人的にはGrand Theft Auto San Andreasはこの時代の感じをうまく描いていて、2pacの追いかけているものほどではないでしょうけれども、登場人物たちが抱える苦悩や葛藤と、そこに置かれているものはゲームという媒介できっちり表現されている。例えばGTA VCは映画のスカーフェイスによく影響されているといいますが、GTA SAが好きならこの映画も間違いなく刺さると思います。

話がそれてしまいましたが、Wikipediaなどで2pacを調べると事実が淡々と書かれているのみなので、なかなか過激な人物に思えてしまうのですが、実力があるが故に目をつけられてしまい、貶められた人物と思えば捉え方も変わってきます。もちろん、ブラック・パンサーという組織がどういった形で警察に目をつけられていたのかまではわかりませんが、悲劇のヒーローの一生を描ききった名作と呼ぶにふさわしい内容なのかなと思いました。個人的にはこの映画は間違いなくアタリなので、プライム会員なら是非観ておきたい一作です。